Hasselblad 553ELX, Planner C80mm f2.8
もう長いこと触れていなかったハッセルブラッド553ELXのフィルムカートリッジを空け、古いブローニーフィルムを引っ張り出してみた。そして、現像してみたら……あれれ、撮った覚えのない写真が……。記憶にあるような、ないような。
スゥエーデン鋼で造られた強靭なボディを子犬のように両手で抱き、シックス・バイ・シックス(6×6)に切り取られた世界を見つめるという至福。
ハッセルブラッドやローライが好きな人は、写真を撮るよりもツァイス製のレンズを介してファインダー越しに映る美しい像の虜なんですよ。もしかしたら、ずっとハッシー(ハッセルブラッドの愛称)を抱えて世界を覗けたらと思っているのではないでしょうか。いや、わたしがそうなんですが。
たとえば、一般的な35mmは世界の一片をバターナイフで切り取るような感覚です。一方、中判カメラは世界という本の1頁をそのままパリッと剥ぎ取るような感覚であり、気持ちに余裕がないと難しい。裏を返せば、心ののりしろを広げてくれるような感じでしょうか。
かつて一式数百万円以上もしたハッシーをストリート・スナップに使う。今ならできる。なんて幸福な時代。
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