今回、Syndicateへの参加を通して、いくつかのVCや新興企業のキーマン、そしてオーディエンスと話をしてみた。感触としては、苦笑混じりにバブル2.0という声もあったが、「バイアウト(買収)バブル」だという指摘も。
帰りの飛行機のなかで「Business2.0」を読んだが、そちらにもバイアウト・バブルについて書かれていた。
「The Return of Monetized Eyeballs」という記事では、ドットコム・バブル時代との比較が挙げられていて、興味深い。
あの頃には広告集稿をあてこんだWebサイトの立ち上げが乱発されていたが、ここにきて、そのビジネスモデルが現実味を帯びてきているということ。
つまり、人々の視聴が換金されるようになってきている点が当時との最大の違いとして挙げられる。
同誌では、一人当たりのEyeballs(目ん玉)〜つまりにユニーク・ユーザ一人あたりに対する買収金額〜をグラフにしている。
そのグラフでは、99年前後のExciteの買収価額が一人の目ん玉につき$394となる。最高価額ではBroadcast.comの$710だ。余談になるが、私はExciteをAT&Tやバイアコムが合弁でつくったathomeが買収したのちのExciteの本社取材をしているが、社食に本格的グリルを設けていたり、パーティーを水族館貸し切りで行なうなど、それはもう豪勢なものだった。
やがてExciteはまた売り飛ばされるが、01年では目ん玉価額は73セントしかついていない。ここから03年までかなり冷え込む。
しかし、一転して04年からはまたまた目ん玉価額が上昇に転じている。ブロードバンド化やWi-Fiの普及も要因のひとつだろうし、なによりもリアルからネットへの移行が完全に終了したことが大きいだろう。つまり、ネット上にほとんどのコンテンツが集約されたがゆえ、ユーザーも増大し、それは無視できないものとなっている。
最近ではLycosの目ん玉価額が$2.57となり、バブル時には及ばないがそれでも1ドルを上回り始めている。05年前後はさらに上昇し、Ask Jeevesが$44、日本ではAllaboutで親しまれているAbout.comが$22、そして最近のWeblogs Inc.が$10である。アメリカではもっとも一般ユーザーの間に浸透しているといわれるMySpaceは$36だ。
オンライン広告も同様の曲線を描き、00年をピークに02年中頃がもっとも底値、その後どんどん上昇し、ピーク値に限りなく近づいている(企業が一家庭に対して見込む広告予算として、ピーク時は一家庭につき$40弱が計上されている)。
同誌では、VCの意見として買収のためのポイントを3つ挙げている。
ひとつめは新規ユーザーの35%が既存ユーザーによってそのコミュニティに参加していること。これはバイラルを呼び起こすには必須な条件かもしれない。ふたつめ。ユーザーがスティッキーであること。その場合には毎日65%のユーザーがサイトを訪れているのが理想的だとか。そして、最後に有料サービスを使っているユーザーが全体の1%程度いれば、さらにバリエーションがつく可能性があるとも。
また、この記事以外にインターネット系有力VCのクライナー・パーキンスの元パートナーだったVindo Khosla氏のインタビューが個人的には面白かった。現在、Khosla氏はクライナー・パーキンスを離れて、自ら私募ファンドを組成、ベンチャー企業に投資している。
かれ曰く、現在はまた放蕩(=バブル)の初期にあり、いくつかの企業はうまくいっていないが、残りのクリエイティブな企業はいかに生き残るか新しい道を発見した、とも。
コメント