マイクロソフトのCTOであるRay Ozzieのブログが反響を呼んでいる。
RSS/ATOMフィードによってシンジケートされていくWebだが、一方で同じRSSだけでもいくつかの規格が混在し、またXMLによって構造的なデータの参照が可能になっているはずなのに、コマースでの決済手段入力やアドレス帳など同一のデータを別々のサイトで使用することは適わない。
ページ単位で“コピペ”をレンダリングするのは大変なので、それぞれのサイトにクリップボードをもたせたらどうだろうかというのがRay Ozzieの提案の骨子だ。
そこで百聞は一見にしかず……
今月6日から開催されたETech2006でのOzzie氏による講演から、本人の解説付きデモをご覧いただいたほうが話ははやいだろう。
Ozzie氏は自身のアイデアを「ライブ・クリップボード」と呼んでいる。
このアイデアはマイクロソフトの公開メーリング・リストで議論されている模様。
すでにOzzie氏の講演はオライリーのブログ「オライリー・レーダー」でも公開されているので、ぜひご一読あれ。
すごくかいつまんで説明すると、ユーザーが被る恩恵の一例としては……
Here's my facebook profile, but I don't want to maintain duplicate data in multiple places. I'm going to paste the data from Spaces into Facebook. It took location, etc. from the static data on the clipboard. But we want it to be live. So the page added another icon that has a choice: "live updates from MSN Spaces Profile", a link to an RSS feed that's on my profile. When I check this box, Faces will have a subscription going ot this one piece of inforomation so that when I update in Spaces, it'll update in Facebook.Standard feed icon next to the live clipboard icon. Copy it, go over to bloglines, and paste. That's as easy as it should be to set up feeds. By having it that simple, it'll go out to a lot more people.
……上記のように、たとえばいつも使っているSNS上の自分のプロフィールをコピーして、違うSNSサービスにペーストが可能になるだろう。一方のSNS上のプロフィールを更新したら、別のそれも更新されるなど、Ozzie氏のコンセプトはただのコピペではなく、構造的なデータそのものをコピペでき、さらに情報の同期が可能だ。
さて、これってどこかで聞いたことがあるコンセプトだな、と思ったら、昔アップルが提唱したBENTO FORMATのWebサービス版じゃないか、と。OpenDoc、早すぎたのね。
このWeb間のコピペがデスクトップともシームレスに連携し、Webとアプリ、WebとWeb、さらに携帯とPCなどの垣根を越えるようになったらすごいと思う。
もしかして、まだ見ぬWeb3.0は、実は繋がっているようで繋がっていないWeb同士を繋ぐことなのかもしれない、と思った次第である。
Web3.0世代の市民メディアとしての1つのビジネスモデルを考えてみました。
Web3.0は誰もまだ明確に定義していませんが、Web本来の目的が何かをまずとらえるとして、その進化のコンセプトが何かを明確にしましょう。
まずWebの目的とは何かと申しますと、「情報の共有化」です。わかりやすい身近なシステムとしては、インターネット上のデジタル図書館などがあります。
そのWebの基本にあるのは、まず情報提供(情報発信)、すなわち情報のデジタル化です。
ただWebサービスが始まったWeb1.0世代では、その情報発信をする人たち、と言うのが、特に限られた人たちでした。それが、Web2.0の「ブログ」や「Wikipedia」、「YouTube」、「Amazon.com」、「JanJanなどの市民メディア」、その他、オークションサイトなどの発展でどんどん、一般の人たちにも裾野が広がってきました。
その利用する人たちの裾野の広がりという意味でも、Web1.0世代ではある特定の人たちに限られていたのが、Web2.0世代ではブログやSNS、携帯サイトなどの普及も伴って、若い人たちを中心に広がってきました。そして次の世代のWeb3.0世代では、よりシームレスな情報発信、情報交換ができるようになる、ということが大きなコンセプトとして定義します。そこでは子供やお年寄りなどが意図して参加しなくても実質的に情報発信(情報参加)できるようにしてあげることが必要になってきます。簡単に言えば、従来、オンラインバンキングなどの、かなりセキュリティのガードが高いサイトにはいるのに、いちいちパスワード入力などのログイン操作が必要でしたが、その煩わし認証操作を意識させないことです。そのためには情報発信、情報交換のための強固なセキュリティと社会的にも認められた自動認証システムの構築が不可欠です。
同様に、シームレスな情報参加としては、リアルタイム性も欠かせません。瞬時に、意識しなくても必要な情報なら共有のインターネットのデータベースに、その時、その場所の情報がアップされ、更新されていくのです。
そういうWeb3.0世代に欠かせない市民の側で必須のソフトは何でしょうか?
それは私が約10年前、アメリカから帰ってきた1996年に構想を始めた、パーソナルサーチエンジンをベースとして、自動応答認証システムも組み込んだソフトです。それは必要な情報提供要求や問い合わせに対して、信頼してよい対象の相手(主治医や取引銀行)からならば自動的に判断して、そのセキュリティレベルに応じた情報を提供し、逆に欲しい情報に対して、常にアクセスして探して、情報が入手した段階で、その所有者に知らせてくれるパーソナルサイバーエージェントというソフトです。それは、これからは携帯などの端末にも搭載されるでしょう。
このパーソナルエージェントの機能をユーザーにとって便利な機能として市民に提供し、その一方では必要なコンピューティングシステムとして、空きの時間を使わせてもらう、というビジネスモデルが今後の大きな市場をもつ、Web3.0世代の市民メディアのビジネスモデルの1つになっていくのでは、と考えています。
以上
投稿情報: 服部順治 | 2007/08/22 01:52