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Web3.0世代の市民メディアとしての1つのビジネスモデルを考えてみました。
Web3.0は誰もまだ明確に定義していませんが、Web本来の目的が何かをまずとらえるとして、その進化のコンセプトが何かを明確にしましょう。

 まずWebの目的とは何かと申しますと、「情報の共有化」です。わかりやすい身近なシステムとしては、インターネット上のデジタル図書館などがあります。

 そのWebの基本にあるのは、まず情報提供(情報発信)、すなわち情報のデジタル化です。

 ただWebサービスが始まったWeb1.0世代では、その情報発信をする人たち、と言うのが、特に限られた人たちでした。それが、Web2.0の「ブログ」や「Wikipedia」、「YouTube」、「Amazon.com」、「JanJanなどの市民メディア」、その他、オークションサイトなどの発展でどんどん、一般の人たちにも裾野が広がってきました。
 その利用する人たちの裾野の広がりという意味でも、Web1.0世代ではある特定の人たちに限られていたのが、Web2.0世代ではブログやSNS、携帯サイトなどの普及も伴って、若い人たちを中心に広がってきました。そして次の世代のWeb3.0世代では、よりシームレスな情報発信、情報交換ができるようになる、ということが大きなコンセプトとして定義します。そこでは子供やお年寄りなどが意図して参加しなくても実質的に情報発信(情報参加)できるようにしてあげることが必要になってきます。簡単に言えば、従来、オンラインバンキングなどの、かなりセキュリティのガードが高いサイトにはいるのに、いちいちパスワード入力などのログイン操作が必要でしたが、その煩わし認証操作を意識させないことです。そのためには情報発信、情報交換のための強固なセキュリティと社会的にも認められた自動認証システムの構築が不可欠です。
 同様に、シームレスな情報参加としては、リアルタイム性も欠かせません。瞬時に、意識しなくても必要な情報なら共有のインターネットのデータベースに、その時、その場所の情報がアップされ、更新されていくのです。

 そういうWeb3.0世代に欠かせない市民の側で必須のソフトは何でしょうか?
それは私が約10年前、アメリカから帰ってきた1996年に構想を始めた、パーソナルサーチエンジンをベースとして、自動応答認証システムも組み込んだソフトです。それは必要な情報提供要求や問い合わせに対して、信頼してよい対象の相手(主治医や取引銀行)からならば自動的に判断して、そのセキュリティレベルに応じた情報を提供し、逆に欲しい情報に対して、常にアクセスして探して、情報が入手した段階で、その所有者に知らせてくれるパーソナルサイバーエージェントというソフトです。それは、これからは携帯などの端末にも搭載されるでしょう。

 このパーソナルエージェントの機能をユーザーにとって便利な機能として市民に提供し、その一方では必要なコンピューティングシステムとして、空きの時間を使わせてもらう、というビジネスモデルが今後の大きな市場をもつ、Web3.0世代の市民メディアのビジネスモデルの1つになっていくのでは、と考えています。

以上

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  • 小林弘人によるメディアの最前線についてのフィードです。革新は中心部ではなく、周縁から。ゆえにニッチメディアを取り上げます。since 2005

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誤記訂正とお詫び

  • 『新世紀メディア論』の誤記および補記があります。

    P97 2行め 「アーリー・アダプター」に英文を併記します。Early Adopter また、仔細を参照できるようURLを補記。Adopter categoriesの項

    P134 14行目からP135 2行めまで S字カーブについての説明が不正確でした。以下の文章に訂正し、お詫びいたします。また、参照用にURLを脚注で補記します。Diffusion of innovationsの項
    「『S字カーブ』とは、ある技術進歩や商品サイクルの成長曲線を指し、最初は緩やかに始まり、途中に急速な進歩が訪れ、また緩やかに飽和状態を迎えた様を曲線にしたものです。その成長は鈍化し、次の技術革新は新しい別のS字カーブとして現れます。
     メディアの場合、「セカンドライフ」のようなバーチャル・コミュニティを例にとると、同じコンセプトはインターネット黎明期からあり、初期はVRLMという技術を用いて多くの企業が競っていましたが、そのほとんどが成功に至りませんでした。しかし、同分野は途絶してしまったのではなく、環境の変化を汲みながら新たな技術革新等によって成長を続けてきました。バーチャル・コミュニティは、これからもまだ進化するでしょうが、次もまた「セカンドライフ」が王座にいるとは限りません。」
    *上記は4刷版より改訂済み。

    P129 1行め「FoxというCATV局…」 → 日本では衛星デジタルとCATVで配信されていますが、全米では地上派放送です。誤解を招く表現でしたので3刷時に改訂しました。

    P253 8行め 「『About.com』は、ワシントンポストの子会社であるニューズウィークに買収され…」→ すみません。完全に思い違いをしていて確認ミスです。正しくは同サイトはニューヨークタイムズに買収されました。こちらも3刷時より改訂いたしました。

    以上、謹んでお詫びし訂正いたします。

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