前のエントリーでアップしたビデオに付随して、説明を加えたい。
ロケットブームはなぜ生まれたか?
今回もっともだれもが話を聞きたがっていたと思われるのが、30日午前の基調講演に登場したRocketboom(ロケットブーム)の創始者でもあり、プロデューサーを務めるアンドリュー・M・ベイロン氏のスピーチである。わたしも彼のスピーチを心待ちにしていた一人である。それだけを聴きに来たといっても過言ではない。
結論からいうと、まさに疑問が氷解した印象である。
わたしが感心した点は大きくわけて二点ある。
まず、一点め。
ロケットブームはただのビデオキャストにあらず、ひとつのコンテンツを核としたコミュニティであること。
これは雑誌などのターゲットメディアに近いかもしれない。
ベイロン氏は語る。
「自分のためのネットワークをつくりたかった。最初にQTやWMなどのフォーマットでDVDに焼いて、ユーザーテストをおこなった。
ブログをはじめてから、boingboingなどをみて、日記以外のニュースの伝え方をビデオで伝えられないかと思った」
「パーソナリティがエンタテインする必要があると思った。旧来のメディアにはすごい予算があり、ハイエンドだけれど、ニュースを30分、何々を何分だけとか枠が決まっているので、それをひとつにまとめてできないかなと思った」
「テクノラティで表示される人気上位のブログのように、すぐに視聴者からのコメントをレスポンスできるようなものを考えた。
ブログのようにすぐに拡散し、いろんな人が反応するオーディエンス・リレイテッド・ディスカッションを求めた」
ベイロン氏はビデオキャストに終始するだけではなく、Wikiをもうけて視聴者たちとコミュニケーションをはかっている。Wikiboomだ。
FAQには、どのような機材を用いているのかなどすべて記載されている(ちなみにソニーのHDR-HC1 mini-DV)。
ロケットブームの換金化
さて、もうひとつ唸った点は肝心のビジネスモデルについてである。
ベイロン氏によれば、最近ロケットブームに広告が入ったそうだ。それは週8万ドルの契約だという。一日の視聴者数が約30万人だというから、米Gizmodoのような月に1000万PVをたたき出すブログなどに近い。
ベイロン氏は好きな企業の広告しか入れないとも言っていた。
そして、収入の道は広告だけではないとも。
ロケットブームのロゴを印刷したTシャツがすでに毎月4000ドル分販売されているという。
さらに今後、ロケットブームはロングバージョンの課金化を考えているという。
今年の2月にニューヨークでロケットブームについての講演(すでに番組を去ったキャスターのアマンダ嬢によるスピーチ)を聴いたときには、まだ換金化についての話は「できればいいね」程度の話だという印象だったが、この半年以上で、ロケットームはついにビジネスになったのだろうか。
それにしても、ローコストのニッチコンテンツが成功を収めるという話はなかなか小気味がよい。ロケットブームが参考にしたというboingboingを含めて、すでにマスニュースに匹敵するメディアは少数でも実現可能なのだ。
#次回のエントリーでは、今回のエキスポにおいて興味深いサービスを提供していた企業などについて触れたい。
お詫び : 前のエントリー「ビデオレポート2」にアップしたビデオ内に登場した女性を同名の違う人物と誤認し、テロップを入れていたことに気づいたので、改めて編集をし、再びアップし直しました。謹んでお詫びいたします。
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