前のエントリーから続けて、Podcast and Portable Media Expo 06のレポートをお届けしたい。
会場内で姿を見つけて声をかけたら、ビデオ撮影を快く承諾してくれたロバート・スコブル氏(1分32秒で登場)にもちょっと言及しておきたい。
かれは、マイクロソフトのPRを離れ、現在PodTech.networkに移籍した。その模様は、Rocketboomでも取り上げられたのでご存知の方も多いかもしれない。ちなみにPodTech.networkはGeek Entertainment TVを買収したばかりだ。
彼についてはその著作『ブログスフィア』が日本でも販売されているので、そちらの紹介ページに記載されたプロフを読んでいただければ話が早いかと思う。
スコブル氏はビデオのなかで、日本の読者に対し、「ブログを始めることが、世界中の聴衆と結ばれる最良の方法です。あなたもそのパワフルな会話に加わりましょう。ビジネスが変化するのがわかるし、グーグルで上位にも表示されるのがわかるでしょう」と語ってくれた。
Expoのシルバー・スポンサーでもあり、ひときわ目立つブースで「Unconference」と名乗る独自のミニ・カンファレンスを行っていたのはPodangoである。
同社は、ポッドキャストを行いたい人々に、ステーションと呼ぶポータルサイト上で局を開設するサービスを無料提供。バルクでSEOなどに対応し、さらにプロが優秀なポッドキャスターをリクルートして同ステーションで放送させるという。
私見ではあるが、日本のまぐまぐがポッドキャストをやっていれば、こうなるだろうというビジネスモデルかもしれない。
また、派手めのロゴが目立つなか、大人な雰囲気のAudibleは昨年に発表したWordcastを継続してアピールしていた。Wordcast Basicは、CMSをポッドキャスターに提供し、配信の管理と広告の挿入を行う。フォーマットは.aaフォーマットをサポートしているが、一部で互換性について汎用性が低いのではという指摘もあるが、どうだろうか。
Podcastreadyは、リスナー側にとって使い勝手のよいポータルサイトといった印象だ。どちらかといえば、サーチエンジンとディレクトリー型ポータルのよいところ取りともいえる。
リッチメディア界のグーグルともいえるサーチエンジンPodZingerも健在だ。
むしろ、貫禄さえ漂っている気がする。オーディオとビデオファイルの言語検索はディクテーションしやすい英語圏ならではの発展を遂げつつある。ほかの言語についての対応をブースのスタッフに質問をしたら、スペイン語にも対応予定とのこと。中国語や日本語はまだまだ遠い将来だ。ここら辺は、私も日本語のディクテーション技術を有する企業と継続して討議をしていく必要がある。
あと、気になったのは有料のポッドキャスト専門ホスティングサービスのGenetic hosting。この会社のWebアプリ型のCMSがPodkiveだ。優良な専門ASPなら喜んでお金を払うだろう(無料だともっと嬉しいが)。
もうひとつ、PopCurrent.comもユニークなアプローチを行っている。
こちらはビデオ/ポッドキャスト版Diggのようなソーシャル・メディアといえる。
初日を通した感想は、アメリカのポッドキャスター人口は日本の比ではないということ。トークラジオのような草の根放送局が多いことからも、なにかを表現したいという人がとにかく多い。そのためかエキスポ来場者たちの年齢層も千差万別。
どちらかというと、街の面白いおじさん・おばさんみたいな人が多かったと思う。ニッチな市場を形成しているのは、こういう人たちなんだろうな、と窺わせる。
一方、ビジネス視点から見ると、ポッドキャスト番組の換金化はポッドキャスターたちの永遠の課題だろうが、当面はどのような番組があり、どのようなリスナーがついているのかの効果測定のスタンダードに欠けているのがネックだ。
このあたりはRSSフィード測定の混沌とした現況に似ているかもしれない。
よく考えると、個人ブログが換金化できるならば、リッチメディアもそうなるかもしれないが、当面は狭いパイの奪い合いというところだろうか。
しかし、そんなことよりも、多くのポッド/ビデオキャスターたちは「面白いからやっている」というモチベーションのほうが大きいだろう。かつてはアマチュア無線やテープリール録音、やたら編集に凝るアマチュア・ビデオ撮影から、いまではポッド/ビデオキャストへと進化したという気がした。
メディア論なんかをぶつ前に、ポッドキャストは偉大な趣味である、という点を今回は再認識した。
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