先週末に、審査員として招かれたのは「スチューデント・フリーペーパー・フォーラム2008」。
これは、全国の大学生たちがつくるフリーペーパーに賞を与えるという、学生たちによる学生たちのためのメディア・イベントです。つまり、フリーペーパー甲子園といったところでしょうか。
どんなフリーペーパーが存在しているのかは、当団体のウェブサイトをご覧ください。
プロも唸るようなクォリティが高いものや、ビジネスモデルが秀逸なものなど、多様な媒体が集まり、そのなかで見事、優勝に輝いたのは美大生たちがつくる「PARTNER」でした。
惜しくも優勝を逃したのは、早稲田と慶応の大学生たちによる「早慶本」という就職系の情報誌。両誌とも、かなりの利益をたたき出しているとのこと。
「なんでまた学生のフリーペーパーの話など?」と訝る方もいるかもしれませんが、今回上位に残った媒体に言えるのは、すべてニッチメディアであり、ターゲットのセグメントがはっきりしていることがすべて強みになっているということ。
つまり、本ブログをお読みの皆さんにはおわかりいただけると思いますが、今後、メディアは「レーザービーム・ターゲティング(ターゲットをピンポイントで絞りきったもの)」か、既存のマスメディア (こちらは巨大資本かつ、流通が統治され、許認可事業だったりするもの) のいずれかとなり、ピントが甘いメディアは相当な苦戦を強いられるだろう、ということです。
ボランティアで参加した学生たちのイベントでしたが、なかなか面白かったのでご報告まで。
アメリカ出版研究会
一方、昨日はアメリカ出版研究会から、十数年ぶりに講演者としてお招きいただきました。
こちらの会は、出版業界の海外出版事情研究では先駆者としていまも活躍されている金平聖之助氏が後見人を務める会です。
先日の国際ブックフェアの特別講演でも、出版業界には痛烈な印象を与える発言ばかりしていたとのことですが、「あのとき語ったエッセンスを、こちらでも語っていただきたい」というお誘いだったので、遠慮なくベラベラと話してしまいました。
かいつまんでのスピーチだっため、もっと深く専門的に話をしたい部分もありましたが、出版業界の方々にそのような話を面と向かってできるということは、過去を鑑みても例がないでしょう。
実は業界内の人たちと、私が「これからのメディア・ビジネス」について話すとき、これまでは価値観の相違が甚だしく、誤解されて議論が平行線をたどることがままあるため、あまり引き受けたくなかったのが正直なところです。
しかし、先日の国際ブックフェアの特別講演時から、オーディエンスの方々と意見交換をしてみると時代はかなり変わってきたな、という印象を抱きました。逆説的ですが、それだけ厳しい状況なのでしょう。
講演時、具体的に「ウェブ上でコアコンピタンスを活かせず、他社に利をもっていかれた事例」として挙げた名前の会社の方と、名刺交換時にお会いし失礼を詫びましたが、寛容な態度で受け止めていただいたことに御礼を申し上げます(なお、こう書くとかなり辛辣な言い方をしたようだけれど、進行はあくまで和気藹々な感じですよ)。
当日に話をした内容は、来春に書籍として出版予定なので、その節はまたこのブログでもお知らせします。多くの企業にとって厳しい年の瀬であるけれど、がんばって乗り切りましょう。
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