米ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック氏が、同社傘下メディアの記事をグーグルの検索に拾われないための措置を検討している件については各媒体既報の通りですが、同時にオンライン上のコンテンツを有料化していく流れ〜通称「Paywall(ペイウォール)」化〜も併せて、米のメディア・ウォッチャーたちの間で『Paywall 対 Free』の図式でその是非を問う声が上がっています。
『Paywall』は"自らウェブ上で破滅するようなdigital suicide(デジタル自殺)だ"という厳しい見方もあれば、いや、これまですべてがFree(無料)だというほうがおかしかったんだ、というPaywall擁護の声もあります。
→ newmatilda.com "Actually, News Corp's Paywall Might Work" by Jason Wilson
また、Paywallに覆われいたとしても記事全文を無料で読むハックがあるため(この点は「メディアパブ」にWSJについての詳しい記事があります)、Paywall化はともかく、そのような"裏口"すら閉ざしてしまうマーッドク氏の発言について、人気サイトのTechdirtは「人々がソーシャルメディアでニュースを引用できなくなることは得策なのか?」といった趣旨の記事を載せています。
→ Techdirt "Will Murdoch Kill The One Smart Part Of The WSJ's Paywall? "
『Paywall』が新聞社のウェブ上における換金化に寄与するのか、といった論調以外に、メディア評論家のジェフ・ジャービス氏はジャーナリズムと民主主義の観点からPaywallを憂いています。
"They don’t see that today, in an open society and economy, walls no longer preserve value, they diminish it."
→ BuzzMachine "The new divide in media is walled v. open."
一方、完全に閉ざしてしまうPaywallとは違い、一部を無料で開放し、仔細や高機能版を有料課金にするといったフリーミアム・モデル採用のサイト(一部有料課金モデル)までPaywallと呼ぶことに対しては、違和感を覚えます。
→ MediaWeek "The Economist introduces pay-wall for archive content"
#追記 ニュースの需要はなくならないでしょう。でも、我々がニュースを見つけるのではなく、ニュースが我々を見つける…という示唆を含む過去のNYTimes.comの記事。Paywallを考える際の参考になるかもしれません。
NYTimes.com "Finding Political News Online, the Young Pass It On" by BRIAN STELTER
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