皆さんはリニアコライダーをご存知だろうか?
WWWを発明したCERN(ヨーロッパ合同素粒子原子核研究機構)に ある素粒子加速器は世界的に有名だ。この素粒子加速器はパイプ管の中空にビームを発生させ、それを加速、そして衝突させることを目的としている(本当は私 の説明なんかよりも、もっと複雑な経緯による)。ビームの衝突によって、宇宙誕生直後に存在したであろう素粒子を人為的に作り出す。
→ CERNについての日本語による解説はこちら。
リニアコライダーはこの素粒子加速器がその名の通り線形(リニア)に設計されているもので、円形タイプの加速器と違ってカーブする部分をもたないため、スピードを殺さずに素粒子を加速することができ、より強大なエネルギーによってビームの衝突を発生させる。
現在、世界最大のリニアコライダー(東京〜千葉間くらいの長さ)を日本に建造し、宇宙誕生時にあった素粒子を発見し、宇宙空間の謎を解き明かそうという壮大なプロジェクトが、高エネルギー加速研究機構(KEK)の呼びかけのもと進められている。
新しい素粒子の発見では日本がもっともリードしているだけに、この超巨大素粒子加速器の日本建造には日本の物理学の発展、宇宙論の進歩が期待される。また、リニアコライダー建造技術は科学技術の頂点ともいえ、産業界へのスピンオフも多大に寄与することだろう。
そこで、私もぜひこのリニアコライダー計画を実現するべく微力ながら協力させていただいた。
写真の女性は本案件の担当者であるが、彼女が手にして
いるものはこのリニアコライダー計画の全貌が記された一般向けのガイダンスである。
難しいのは、最先端の科学技術をいかに平易に、また多くの人の興味を惹きつつポイントを訴求するかということ。
そして、近代以降、宇宙の謎を解いてきたのは物理学の発達によるところが多い。それを伝えねば本プロジェクトの意義は伝わらない。これがミッションだ。結果は、いずれ多くの人の判断をあおぐことになるが、理解しやすく、そしてこれまでになくインパクトのあるものがつくれたと思う(KEKの高崎氏、東 大の山下了助教授によるご協力とご理解、メインライターを務めた山下卓氏、そして本件担当エディター2名とデザイナーたちスタッフの連携プレーの成果であ る)。
先日も真鍋かをり嬢が高エネルギー加速研究機構を取材するなど、学者のみならず多くの人々の関心を呼んでいる。いずれ、メディア関係者や宇宙や物理学に興味をもつブロガーを招き、実際に現在筑波で稼働しているリニアコライダーの見学ツアーなどを予定したい。
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