現時点で仔細までわからないが、スティーブ・ジョブズ氏の基調講演で発表されたアップルのiWebは、説明を聞く限りiLifeMediaBlowserとのSuitus(組み合わせ)製品のようだ。
ブログの更新やフォトシェアリング、ポッドキャスティングがとても簡便に実現できることやデザインの美しさをジョブズ氏は強調していた。
米ではそのような環境を実現するサービスはデスクトップからウェブトップに移行しつつあり、ソーシャル・メディアとして括られる。前のエントリーにも記載したように、多機能なものだとWikiやRSSリーダーを備えたものまであり、個人の情報発信と同時にシームレスにコミュニティを組成を支援しようという流れにある。
iWebではajaxを利用しているようだが、先月に私がSyndicateで取材したFive Across社のGlenn Reid氏(iLifeやiMovieの開発者)が開発の陣頭指揮を執ったFive Across Connectを彷彿させる。
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こちらも美しいUIと簡便な操作性を誇り、デザインテンプレートなどの簡便な変更をユーザーに許容している。ドラッグ&ドロップによってコン テンツ更新を実現し、まさにアップルのお株を奪うかのような「アップルらしさ」を見せつけていた。そして、iWebとの差異(現時点でわかっている範囲内で) は、Five Across ConnectがSNS機能を備えている点だ。
せっかくの後発サービスなので、アップルには.Macとの組み合わせでWindowsLiveや先行するソーシャル・メディアとの決定的な違いを見せてほしかった。どうも最近、ウェブサービスの戦略では同社製品ほどの切れ味が見られないと思うのは、私だけの杞憂だろうか。
昔から初期のMacやネクストなど自己完結型(つまり、拡張性に欠けていた)でありながらも、それゆえ世界観が統一された工芸品のようなマシンを送り出し ていたジョブズ氏が、現在のネットの自己完結性とは対照にあるラジカルなまでの協調主義と分散主義をどこまでキャッチアップしていくのか、あるいはハード のおまけ程度に取り組むつもりなのか興味深いところではある。
昔ながらのファンとしては、UIやユーザビリティについてはアップルの独壇場だと思うので、機能主義的な現在のウェブサービスの流れのなかにその流儀をもっと持ち込んでほしいと願ってやまない。
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