B to Bによれば、2010年に全米の新聞の総収益が200億ドル落ち込むとの予想をOutsell社が発表したと伝えている(06年9月11日号)。
さらに、この「予言」は、いまから数年後には18~39歳の読者がオンライン新聞を購読する率が高まるため、紙の新聞の購読が減少すると述べているようだ(まあ、想定内だろう)。
その代わり、30%ほどオンライン新聞の広告収入が増加すると見込んでいるが、あいにく、落ち込んだ紙の収益を補うほどではないとのこと。
同社では新聞社はOperating Marginsを、多くの企業と同様に2割台に落としたほうがいい、と結んでいるとか。
一方、こちらは雑誌社にとって悪いお知らせ。
IABのまとめた資料によれば、全米企業が2005年オンライン広告出稿に費やしたお金は124億ドル。対して、雑誌への出稿は129億ドル。メリル・リンチによれば、今年(06年)にインターネットへの広告費は雑誌への広告費を上回る見込み。
実際、IABの資料によれば、すでに06年の第一四半期ではインターネットへの広告費は40億ドルに達しているので、過去の推移を見る限り今年で全米のインターネット広告費が雑誌へのそれを上回るのは確実だろう。
IABがまとめたUS Advertising Revenue Report(PDF版)
ちなみに日本は、07年あたりが分岐点かもしれない(電通総研が発表している各資料を参照のこと)。すでに私の周囲の大手出版社では雑誌への広告出稿が億単位で減少していて、ウェブ化への相談が相次いでいる(多くはトップが決済に関与しないため、だらだらと役員会議を続けるだけで実を結ばない)。
上記の資料などをまとめて、先日も講演を行ったところだが、斜陽産業たる紙メディアがどう形勢逆転するかは、ビジネスの根幹にかかわる問題なので、単純にウェブ化すればよいという問題ではないだろう。前述のOutsell社ではないが、問題は現状のオペレーション・コストではないか。
そもそもネット事業はローコスト・オペレーションにより、高い収益性を期待するものなので、実はスタートアップには向いていても、大企業には向いていない。
この四面楚歌に出口を見出さない限り(個人的には再編統合しかないと思う)、続伸するオンライン広告費が必ずしもトンネルの先の光明とはいえないと思う。
コメント