今年初頭のCES、アップルのiTVなどの動向を鑑みると、次のトレンドはほぼはっきりしてきたようだ。
それは「接合」だ。
PC(通信)とテレビ(放送)がデジタル化により似たような機能を有してしまったら、あとはモニタの大きさや置き場所が生み出す「概念」の差異のみになってくるだろう。そこで、どうやって両者の「概念」を有機的に接合し、新たな需要を喚起するかという課題が浮かぶ。
概念的には、テレビにはテレビの強みがあり、PCにはPCにしかできないことがあると考えられている。なので、それらはゆるやかな「接合」を試みようとしている。
出口は、お茶の間である。どちらが覇権を握るのかといえば、すでに存在しているテレビのほうが近道だ。
この「接合」のアプローチには大きくわけて二つあるだろう。
ひとつは、コンテンツ。
そして、ソフトウェアとハードウェア。
これらはバラバラに切り分けられているわけではない。
ハードウェアとソフトウェアを垂直に統合しているアップルの例もある。ハードとOSを切り離してシェアを拡大してきたマイクロソフトの場合、今回も同様の戦略をとるだろう(一応、XBOXというトロイの木馬も用意してあるが)。
ここで挙げたソフトウェアというのは、どちらかといえば、OSとは違い、もっとサービス寄りのものではないかと考える。
たとえば、地デジ、110度CS、BS、ネット映像などの総合型EPG検索エンジンかもしれないし、音声認識録画予約サービスかもしれない。あるいは、ネット上のサービスをテレビでも享受できるようにする置換ソフトかもしれない。
いずれにせよ、すべてのピースが揃わないと、ギークにとってはともかく、多くのユーザーにとって魅力的だとは言いがたい。
そこで、もっともユーザーにわかりやすいものがコンテンツだが、このコンテンツを理解するうえでも、『 テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』(日経BP)を一読することをお勧めする。
ところで、コンテンツに向けたアプローチとして、本書にも触れられている二つのサービスが気になるところだ。
今年2月にサービス開始予定の「アクトビラ」は、ハードメーカーからのアプローチ。
「クリエーターズ」は、映像制作会社を筆頭とするコンテンツ・クリエーターたちからのアプローチ。
そして、今年はここにもっと違う業種からのアプローチが加わり、ユーザーの目には映らないところで苛烈な主導権争いがおこるだろう。
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