いまインターネット上の動画共有が話題だ。
たとえば、先日検索エンジン大手グーグルが買収した米ユーチューブなどが動画共有サイトとして世界的に有名である。
写真はハーパー・コリンズ・カナダのブックトレーラー(本の動画予告ムービー)。
国内でも多くの動画共有サイトが登場し、今後ますますインターネットでの頒布を目的とされたネット動画に注目が集まりつつある。
共有サイトでは作り手やユーザーが公開した動画を簡単に多くの他人と共有することができる。
時には著作権違反の温床にもなりえるが、「意図的に」自分が撮った動画を頒布したい者にとっては格好の場となろう。
実は、その流れは本の販売にとっても好機であると私は考える。
なぜインターネット上の動画と本が関係あるのか?
それは本のプロモーションに動画が活用できるからだ。実際に米ではブック・トレーラーといって、本を映画の予告編(トレーラー)のようにつくる手法が登場している。その本がもつ世界観を映像化し、それを自社サイトなどで閲覧できるようにするのだ。
老舗出版社のランダムハウスやハーパー・コリンズもそのようなブック・トレーラーを製作し、本の宣伝活動を行っている。
それら動画は前述のユーチューブなどの共有サイトなどを介して、多くのユーザーの間に頒布されている。これまで知られていなかった作品や出版社が注目を集める可能性を秘めるだろう。
ブック・トレーラーという言葉はすでに米の民間企業により商標登録されているため、幾通りかの名前で呼ばれるが、少なくともこのアイデアは悪くない。読者になってくれそうな人々に違うメディアを使って売り込むというこの方法は、本を希釈させるのではなく、本の「力」を引き出すものとして期待したい(小林弘人)。
・本稿は2006年12月に配信された共同通信のコラム記事「本の街角」に寄稿したものです。
昔、文学を映画の予告編のように映像化している深夜放送番組を思い出しました。
投稿情報: @わ | 2007/01/15 16:36