あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、SMO(Social Media Optimization)という語句の生みの親でもあるRohit Bhargava氏のブログで、SNSにおける本年のマーケティング・トレンド予測が列挙されていたので、それについて取り上げてみたい。
Bhargava氏の予測は、ひと言でいえば personality matters とのこと。
彼は企業がブランドを語るうえで、ますます個に依拠する比重が高くなるであろうと予見し、5つの項目を挙げている。大雑把ではあるが、要約すると以下の感じだろうか。
1 皆が心からの声を欲している
ブランドをより本物にするためにも、それを伝える個人の声が欠かせない。
2 ブログ上での不意の発言が増える
SNSやブログがさらにその視聴者を集め、突発的な発言が起きて関心を集めるだろう。それが意味しているのは、個人の個性がブランドの一部になるからでもある。
3 クリエイティビティがカギ
ブランドは従来的なやり方とは違った方法でそのターゲット・ユーザーにアプローチすることを好むが、個性を有することこそがカギである。(個性を有すること=クリエイティビティ)
4 WOMはインターナショナルである
個性がWOM(Word of Mouth Marketing=口コミ)における会話をさらに増強させる。
5 ソーシャル・ネットワークで会話は必然となる
個人に訴えかけないコミュニケーションは、そのブランドについての会話を生み出さない。つまり、個性を伴わない閉じられたブランド訴求では、ユーザー個人が語りたいと思う視点を付与しない。
いずれも、Bhargava氏の視点はSNSやブログなどのソーシャル・ネットワークがさらに信頼できるネットワークへと発展することが前提となっている。そのうえで、ブランド側も『個』から伝えていくことが重要であるというのがハイライトだろう。
これは、私のように長い間メディアをやっている人間の視点からいえば、発信者こそが最大のコンテンツである、といったところだろう。このブログのテーマでもあるが、メディアはより、個を目指す(つまり、ツールはより民主化し、誰でもメディアがもてるようになる)。それは間違いない。そして、それは受け手=送り手でもあるので、受け手側の個をも浮き立たせるSwarm Media(群衆のメディア)上においては、双方の個が担保され、個人主義が貫徹されることを余儀なくされるであろう。
しかし、必ずしもそれは記名でブログを運営しろ、という単純なソリューションを導くものではない。媒体としてのブランドを構築するにおいて重要なのは、個人名ではなく、個性なのだ。集団で生み出されたものでも、必ずや一人のエディターシップに貫徹されているケースが少なくない。つまり、ますます編集者が紙の媒体でそうであったように、フレームを設計する『力』や個性が必要になってきているということだろう。
Bhargava氏の予見をまつまでもなく、これからは、PRの現場でも個人メディアも企業メディアもそれを手がける『個性』がますます重要になってくると思う。
米国ではロバート・スコーブル(元マイクロソフトの広報ブログ『チャンネル9』の運営者)のような広報マンが登場したように、日本でもウェブメディアだけに特化した広報マンが出現するかもしれない(企業によっては、専属ブロガーという呼称を与えている)。
企業は社内に在籍する未来の広報マンをキャスティングすることで、人的資源を眠らせないで活用することができる。もし、そのような人物に恵まれない場合、もしかしたらフリーランスとして企業のニーズを補完する職能者が登場することだろう。
今後、紙媒体はますます冬の時代を迎えるなか、一部の編集者たちはそのような広報マンに転身する機会もあるかと思う。もちろん、これまでどおりPR会社がその範囲を広げていくのが順当だろうが、もしかしたら、アップルがかつて与えていた称号『エバンジェリスト』は、いまこそまさに必要な役職者名なのかもしれない。
source : Influential Marketing Blog
コメント