米アマゾンの電子ブックリーダー「キンドル」の販売が好調だというニュースが報じられてから久しい。
TechCrunchは、関係者筋の情報として今年の8月までに24万台が販売されていると報じた。SEATTLE TECH REPORTがまとめた記事によれば、TechCrunchの記事を含めて好調の理由をいくつか挙げ、もっとも楽観的な予測をしたシティグループのアナリスト、Mark Mahaney氏の発言より「2010年までに7億5000万ドルの売上」を引用している。
最近ではアメリカの人気番組司会者でセレブとして名を馳せるオプラ・ウィンフリーが「好きなガジェット」にキンドルの名を挙げたことも影響しているかもしれない。多くの「キンドル好調」記事は、前出のアナリストの発言やTech Crunchの記事、あるいはブルームバーグの報道をもとに、キンドル向け電子書籍タイトルの増加数などを勘案し、明るい未来を見積っているように映る。
では、実際にキンドルのユーザーは、どんなコンテンツを購入しているのだろうか。アマゾンのキンドル・コーナーを見てみよう(以下は、すべて08年10月27日現在のもの)。
新聞ではニューヨークタイムズの購読が1位で、次点にウォールストリートジャーナル、そして、フィナンシャルタイムズがきている。
雑誌は、1位がニューズウィーク、2位がMITが発行するテクノロジーレビューマガジン(余談だが、その昔、この日本語版を出さないか?という話が、筆者のもとに来たことがあるが、余裕がないため諦めた)、3位はタイムだ。
ブログの場合、無料のAmazon Dailyが1位なのは頷けるとしても、2位のニューヨークタイムズは有料であり(月額1.99米ドル)、トップ10圏内には有料ブログがランクインしているところが興味深い。
全体的にお堅い印象が漂うが、ゆえにキンドル・ユーザーにはテッキーなインテリ層が多いということだろうか。
書籍については、わたしはアメリカのトップセラーに明るくないため、不案内なタイトルばかりで正直、その傾向がよくわからない。なので、直接確認していただくとして、今後、キンドルはiPodのように、アマゾンが販売する音楽や映画を取り込めるようになるだろうとも大筋では予想されている。
そして、ars techinicaが記載しているように、次期バージョンでは大学生向けのテキストブックを収録し、閲覧が容易になる可能性もあるだろう(多くの大学生は分厚くて高価なテキストブックをスキャンし、BitTorrentなどのフィアル共有サービスで共有しているのだとか…)。
キンドル絶好調を、眉唾で見ておこうと冷静なブログUsed Books Blogでも、大学生向けテキストブックに照準を合わせるのは大いにアリだろうとのこと。
かつて、アップルは大学など教育機関に向けて多大な寄贈や安価な提供を惜しまなかった。まだまだニッチなガジェットであるキンドルにとって、下支えしてくれるユーザーを囲い込むためには、アップルのように、まず学生や教師たちを味方に付けることは最良のエンクロージャーかもしれない。かれらが将来の電子書籍購入層になるだろう。
参考サイト
Andrea on Amazon & the business of online retail : SEATTLE TECH REPORT
Amazonの電子書籍リーダー"Kindle"、次期バージョンは〜:図書館に関する情報ポータル
Amazon.com : Kindle
Good news for E;'Publisher"stunned" by Kindle sales : TeleRead
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