アメリカのテレビドラマが人気だが、あの「24」をも超えて、作り込みの良さ(映画にひけをとらない)や脚本、手癖(作家性のようなもの)が見事に融合したのが「LOST」シリーズだと思っている。
はっきり言って、他のドラマとはレベルが違う。
しかし、そのレベルの差があだとなって一般大衆の間で話題になっているとは言いがたい。
わたしは、「LOST」はアメリカ人がつくった「ロボット抜きエヴァンゲリオン」だと思っている。ジャンルはSFだ。しかし、エヴァ同様にスピリチャル色も濃厚で、そのあたりは「ツインピークス」も入っていたりする。
ということで、シーズン4が現在AXNで放映開始。
さっそく観たが、以下からネタバレを含む感想を述べてみる。
シーズン3まで観た人は別に読んでも大丈夫だが、シーズンの最初か、もしくは3以前から観たいという人は控えたほうがいいかもしれない。
まず、シーズン3のラストで、胸を撃たれて重傷なはずのロックがやたら元気になっているのが気になった(笑)。
さらに、あの憎い父親ですら自分の手で殺せなかったロックなのに、会って一秒もたたないうちにナオミをあっけなく殺してしまった。おいっ!
ということで、シーズン4から謎が解けるだろうと期待していると、いきなり矛盾をはらんだ幕開けなのだ。
しかし、素晴らしいのはシーズン3まで登場人物達の過去シーンが挿入されてドラマを盛り上げていたのだが、今回はリバーシブルになっている。つまり、どういうことかと言えば、シーズン4は登場人物達の未来が挿入されているのだ! シーズン3のラストですでにそのあたりは予見されるのだが。
未来だよ。現在進行形に加えて、未来シーンがフラッシュバック(?)する。
参ったね。
こんなドラマはかつてない。
さて、あの墜落したオーシャニック航空だが、実はサイトが実在している。
この手の小技(ドラマに登場する団体名やイベントがあたかも存在するかのように、ウェブを仕込む)は、同じ制作者による映画「クローバーフィールド」でも用いられているが、きっかけは原点であるこの「LOST」からだったのか……。
ついでに墜落したオーシャニック航空815便が海底で発見されたことを伝えるニュース映像もYouTubeにアップされている。これも「クローバーフィールド」同様だね。そのほかにもいろいろと仕掛けがあるので、ファンは探してみてるといいだろう。
本作と「エイリアス」で一躍、脚光を浴びた総合製作者のJJアブラハム氏は、もっとも活躍が楽しみな映画人の一人だ。「M:i:III」もブライアン・デ・パルマやジョン・ウーといった手練を向こうに回して、もっともよい出来だったし。個人的にはウォシャウスキー兄弟が拍子抜けという感じなので、この人に期待している。
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