ズマロンはバルナック型ライカの時代のもので、当時モノクロ写真が一般的だった頃の主力レンズだ。現在のミラーレス機で使用しても、カラー写真は眠いだけのレトロ写真になる。それはコントラストが低いからであるが、逆にいえば階調が豊富で、デジタルでは潰れてしまうようなトーンをうまく拾ってくれる。
M42、ディッケルマウント、ヤシコン、C、エキザクタなど、さまざまなレンズを試してたどり着く沼が、マックス・ベレーク設計のレンズ群ではないだろうか。さらにベレークの仕事を継いだウォルダー・マンドラーが送り出したレンズも然り。
光学設計をコンピュータに任せる前のライカ・レンズには、MTF曲線や数値だのを超越した何かが宿っている。はたして、工業製品にそのような「魔術」をかけることは可能なのだろうか? 2005年にマンドラーは没したという。なんと言うことだ。取材が可能だったなら、ぜひベレクに師事していた当時のことや自身の設計思想について聞きたかった。
Leica M2, Summaron L 35mm F3.5, TX400
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