昨年の11月に行われたポール・サッフォ氏の講演について、Jim McGee氏による記事がCORANTEに掲載されていた。ポール・サッフォ氏といえば、テクノロジーの予見者として90年代からその名を馳せていた。私もその寄稿文(和訳されたもの)を自身の媒体で掲載したことがある。アラン・ケイ氏が、さしずめビジョナリーならば、サッフォ氏は自身が語るようにForecaster(予報者)である。
そんなForecasterとしてのルールについて、サッフォー氏による講演の内容をかいつまんで掲載したこの記事は、私の語学力と理解力の足りなさゆえ読んでもいま ひとつ意味がつかみづらい。
しかし、それなりに抽象レベルにおいて勝手に触発されるところも少なからずあった。もう少し講演の詳細がわかると理解が容易かと思 うのだけれど、とりあえず私なりの解釈を付与するよりも、そのまま記載したほうがいいだろう。以下は未来を見通すための6つのルール。
* Know when not to make a forecast.
* Overnight successes come out of twenty years of failure.
* Look back twice as far as forward.
* Be indifferent
* Tell a story or, better, draw a map.
* Prove yourself wrong
リニアに進行している事象がその達成をみるまえに過度に喧伝されたり、過度に否定されたりすることがままある。「 Overnight successes come out of twenty years of failure.」は経営史の本などにも書かれている。そうか、過去の失敗をひもとけば未来が見えてくるのか。当たり前のようだけれど、未来の種子は過去に蒔かれたものであり、突然萌芽したかのように錯覚してしまうことが少なからずある。
まだ広く認知されていない事柄が、ある日突然評価されたり、それがバブルとなって発生したりすることがある。しかし、逆にいままったく評価されていないが綿々と続く研究や挑戦こそ、次のホットイシューとなる可能性が高いのだろう。「Sカーブ」に従えば、インターネット黎明期の頃にたくさん出てきて冷遇されていたアイデアが、再び「来る」のかもしれない。
たとえば、最近私のもとにはデスクトップ常駐型アプリによるニュースリーダーやリッチコンテンツ配信というアイデアの持ち込みが国内外から来るけれど、それってポイントキャストやマリンバ(いずれも90年代後半に騒がれた。次はプッシュメディアだ!と喧伝されたっけ)だよね、と回顧してしまう自分がいる。3Dによるバーチャル・チャットもVRMLとか彷彿するし。SNSもポッと出てきて成功したというわけではなさそうだし……。もしかして、今度こそは……。
自分のなかでは、実は具体的に「あれ」や「これ」というWeb4.0以上の世界観があるのだけれど、そのどれもが実は1994年に騒がれていたコンセプトの延長だったりする。
はたして、未来は……。サッフォさん、これからも予報してください。
コメント