買ってからどんどん壊れていった君の名はアサヒペンタックス6×7。生みの親からも修復不能と宣告され、このまま静かに君を引退させようと決めていたのですが、時間の経過と共に、「やっぱり、君じゃなければ」という気持ちも膨らみ、今では完全復活への熱い思いが……
ハートがあれば、撮りたい絵が撮れるんだ(教科書的に申し分のない絵とは違う)というのは、3千円ちょいで買った古い一眼レフのアサヒペンタックスKMが教えてくれたこと。ローライやハッセルについているドイツ勢レンズはファインダーを覗いただけで、うっとりするけれど、逆にペンタの6×7じゃなきゃ撮れない絵があることを、まだ自分は立証できていないと思いました。
そして、6×7に戦力外通告をした自分が恥ずかしくなりました。初めて6×7を見たとき、気持ちがフワっとしたことを思い出します。
なんだ、この金属の塊は。手持ちにずっしりとくる重量感、ミラーがガシャコーンッ!と激しく振動するなんて! これもカメラなのか。なんだこの視界のデカさは。デジタル一眼についてるやつは障子の覗き穴かよ……みたいな。
しかし、すでに所有しているM42マウント群や古いズミクロンとかに比較し、どうも6×7専用レンズに特記すべき特徴がないなあと思って写欲を失っていたのも事実です。でも、それはわたしの間違いでした。
バイクでは、馬力が100馬力以上も低い単気筒のニーハンやスクーターに高性能なリッターレプリカがちぎられることがあります。闘う場所とライダーの腕の差ですが、それ以外に思うのは、「このマシンしかない」という気持ちがとてつもなく強いことが大事かと。
わたしが気に入った6×7は、そのボディとフォーマットが総てです。後者はヨソのメーカーでも揃うので、やはり前者に惚れ込みました。
さあ、撮るぜという感触。首からぶら下げたら体を壊しそうな重量。マミヤ7やプラウベルマキナなどの中判レンジファインダーからすれば、デカくて頭が悪そうな図体。強いて言えば、マンガ「ベルセルク」の主人公ガッツが使う本人よりデカい剣みたいな印象でしょうか。
完全に壊れる前に、記念写真をと思い、もう一度6×7を手にして気合いを入れて撮ってみたら(上記写真)、フツーだと感じていたレンズに、ビビビとなにかが宿るのでした。
とりあえず、いま半壊状態の6×7ボディはあきらめますが、新しい(といっても旧機種)ボディを入手し、カスタムを加えようと思います。テーマは、コバニカ専用バケペン(ペンタ67の愛称)。現行機は生産中止が決まりましたが、旧型はわたしのなかでこれからが旬なのでした。
期待のドラフト選手が,故障の末に戦力外通告を受け,しかしもう一度育成選手として復帰.まさにカムバック賞ですね(笑)
一般に,ツールに対するこだわりは,そのツールに対する思い入れが最も大きなウェイトを占めますよね.機能的な差異以上に,「それを使いたい」と思う気持ちが,使用者に影響を及ぼすんだと思います.
初めて6x7を持ってきた時の,小林さんの嬉しそうな顔が忘れられなかったので,新しいボディとは言え,復帰することが決まって嬉しいです.
投稿情報: hms | 2009/04/12 23:39
> hmsさん
いろいろとお騒がせしました。
復帰戦についてはまたレポートします!(^0^)/
投稿情報: 小林 | 2009/04/13 00:32