ライツ・カナダ(ライカ)が60年代中期に生産していたズミクロンというレンズがあります。
カールツァイスのレンズはその描写の鋭さに絶妙な味つけがあり、まさに天才的な職人仕事と感嘆することが多いのですが、ライカのレンズは、天才的というよりは魔術的であり、それは極上の小説を読んだときに似て心にズシリと迫まってきます……
たとえばズミクロンならズミクロンが好きな光というものが明らかに存在するので、それを貪ったとき、恐るべき威力を発揮するものと思います。
ある日、レンズについての本を読んでいたら、さらに衝撃的な作例を見つけてしまいました。その作例を撮ったレンズの名はズマロン。やはりライカの手になるものです。ズミクロンよりも、さらに旧く1920年代に生産されていたものです。
無論、作例はあくまでそのレンズの描写性能の一端をちらりと覗かせるだけですが、その絵はまさにズマロンが秘めたる破壊力と合致していたのかもしれません。
以来、わたしは夢もズマロン越しに見るほどです。感度64。焦点距離は35mm。ズミクロンはわたしの第三の目と公言しておりましたが、ズマロンは目ではなく、もっと魔術的ななにかとして、わたしの心のなかにインストールされてしまったのです。
そんなアンドロメダ病原体のようなズマロンがわたしに囁きます。「もっと俺を通して世界を見たいだろ? なら、新しいカメラを買え」と。あぁ、ズマロン急襲……。わたしは今では理性を失ったズマロン様の操り人間なのでした。
(本記述はフィクションであり、事実とは違う……ことを願っています)
あー、泥沼だね。選択としてはとても正しいけど。
投稿情報: 上海君 | 2009/05/16 11:18
> 上海君さん
はい…。もう廃人になっております。実は…いや、今度お会いしたときに話しますね。
投稿情報: 小林 | 2009/05/16 20:59
また、やってしまったって事ですね。いろいろなボディに玉をはめまくって、最後に一番気持ち良いと思ったモノが自分に合ったボディであり玉ですから、どうぞやりまくってください。
でも、年齢と思想と覗く被写体によって玉は変わりますよ。
私は、古い玉は偉大だと思います。
投稿情報: 上海君 | 2009/05/16 23:42
> 年齢と思想と覗く被写体によって玉は変わりますよ。
まだ駆け出しですが、すでに思想が変わってきていて、それにあわせて玉選びも変化しているので、非常に頷けます。
> 私は、古い玉は偉大だと思います。
本当にそうですよね。感性に直接ビビッとくるものは古いものばかりです。またいろいろとご教示ください。
投稿情報: 小林 | 2009/05/17 10:24