撮影:Christian A. Werner, Funkhaus Berlin, July 2016.
2012年から始まったTOA(Tech Open Air)は、領域横断型のユニークなテック・フェスです。IoT、ブロックチェーン、AI、VR/AR、ビッグデータ、農業、エネルギー、音楽、モビリティ、社会課題、政治まで、さまざまな領域のイノベーションが一堂に介します。開催中には世界中から著名なベンチャー起業家やアーティスト、DJ、クリーエーターたちが集まり、ベルリン市内ではサテライト・イベントも盛りだくさん。バンド演奏、DJイベント、パーティー、あるいはハッカソン、有名企業によるオープンハウスなどさまざまな催しが行われます。
昨今、ベルリンのスタートアップ・シーンに対して世界からの注目が高まるなか、今年のTOA 2017はさらに昨年を上回る規模となるでしょう。ここではTOA2017の見どころを解説したいと思います。
そもそもTOAとは、どんなイベントなの?
コ・ワーキングスペースが多いベルリン市内のなかでも、4,500平方メートルの広さをもつAhoy!には、多くの著名スタートアップが入居しています。その創業者であるニコラス・ヴォイシュニック氏がクラウドファンディングによって資金調達して、立ち上げたのがTOA。クラブを借りてスタートしたのが最初でした。当時は850人以上が訪れたようです。そして、次第に規模を拡大していったTOAは、2016年のTOA公式資料によれば、2万人以上の来場者数、200以上のサテライト・イベント、200名以上のスピーカーが登壇したとのこと。
過去の登壇者には、グーグルの共同ファウンダー・セルゲイ・ブリン氏、 NYの広告業界で「女王」の異名をとるシンディ・ギャロップ氏、キックスターター共同創業者ヤンシー・ストリクラー氏、クラウドソーシングの発案者ルイス・フォン・ファン氏、ブロックチェーンの共同創設者ニック・ケリー氏など錚々たる名前が連なります。
また、テック業界やスタートアップ以外からも、多士済々が彩を添えます。たとえば、ベルリン国立歌劇上管弦楽団のディレクターや有名大学教授、MoMAのシニア・キュレーター、アーティスト、映画監督、国際的に活躍するDJ、ベストセラー作家など、仔細はこちらをご覧ください。
これは、リアルな場を「創発のためのプラットフォーム」とする、TOAの理念に基づきます。展示会のみではなく、学びがあり、交流し、モノを一緒に生み出すといった、イノベーションの祭典が、TOAなのです。
TOA2017 見どころ1:開催地の建物内は世界最大級のレコーディングスタジオ兼放送局
さて、TOAの名称そのものがTech Open Air(Open Airは屋外の意)ですから、展示会場も昨年まではそのままシュプレー川沿いの緑地を利用していました。しかし、今年の見どころのひとつは、冗談みたいですが、なんと屋内展示はTOAとしては初めて。
会場となるFunkhausは東ドイツ時代の建造物で、1953年に建てられた荘厳なバウハウス建築が目を引きます。Funkとはドイツ語でラジオを意味し、東ドイツの公共放送局として、レコーディング・スタジオを含むものとしては世界最大規模を誇ります。
荘厳なコンサートホールでは、TOAが招聘したスピーカーらのピッチや対談が行われます。
撮影 : Dan Taylor - [email protected]
すでにTOAでは、この1,000平方メートルを誇るコンサートホールやその一部を使って、招聘したスピーカーたちによるピッチなどを開催してきました。 今回は48時間連続のミュージック・ハッカソンや、後述するThe Haus of TechがFunkhaus内の滅多に入場できないエリアを使って開催されます。
初の展示会場となるFunkhaus内のエリア。はたして、ここがどんな変身を遂げるのか?
TOA2017 見どころ2:「The Haus of Thech」を見逃すな!AI、ブロックチェーン、モビリティ、エネルギー、VR/ARほかが集結
TOA史上初の屋内展示エリアは、その名も「The Haus of Tech」。3,000平方メートルの会場には、欧州を始めとして世界中からの出展者らによって構成されます。まだ出展者の発表はありませんが、特にわたしが期待しているのは、CEOがスピーカーとして登壇する、空飛ぶ自動車(フライングカー)を造るAero Mobil社です。はたして彼らの製品を見ることはできるのでしょうか? ずっとTOAを支えてきたスポンサーの一社であるBMWグループの動向も気になります。エネルギーの分野では、英ダイソン社の創業者が創設したジェームズダイソン アワードを受賞した風力エネルギーで植物栽培を行うMoya PowerのCEOの登壇も予定されているので、同社も展示が期待されます。
以下は、Haus of Techのパース図となります。期待が高まります。*クリックするとサイズが大きくなります。
まだ、見どころについての解説は続きます。次回以降は、TOAならではの登壇者たちや、ユニークなマッチアップ・イベント等について触れます。
→ ベルリンの領域横断型テック・フェスTOA2017を観に行こう(2)
→ ベルリンの領域横断型テック・フェスTOA2017を観に行こう(3)
*この度、わたしが代表を務める株式会社インフォバーンでは、TOAオフィシャル視察ツアーを企画し、JTB社と今夏実施します。同ツアーのみでしか行けない会場施設ほか、ベルリン市内にある数々の拠点を期間内に視察します。わたしも同行しますので、もしご興味をもたれた方は、こちらのフォームからお問い合わせください。TOA公式視察ツアー 問い合わせフォーム
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