旧聞に属しますが、備忘録として書いておきます。9月19, 20日の両日、シンガポールで開催されたCoindesk主催のConsensus : Singapore 2018に参加してきました。
同カンファレンスはブロックチェーン業界では最大級のイベントで、ニューヨークで開催されるものが有名です。今回はそのシンガポール版ですね。
どちらかといえば、暗号通貨に主軸が置かれていますが、先端の開発企業やビジネスマン、投資家が集まるため注目すべきイベントのひとつです。今回、会社がCoindeskから正式にチケット販売を委託されたので、その流れもあって訪問してきました。
印象に残ったのは、電子通貨のアイデアをインターネット前史より提唱していたディビット・ショーン氏の登壇です。
彼のピッチでは、自身の最新のプロジェクト「Elixxir(エリクサー)」の概要を紹介しました。
ショーン氏はインターネット黎明期を知る人にとっては、「eCASH」の考案者として、その名前に聞き覚えがあるかと思います。90年代前半より公開鍵を用いた暗号化による電子マネーを考案した先人です(余談ですが、サトシ・ナカモトのビットコインは、PoWやブロックを形成するのに必要なハッシュやマークルツリーも含めて、過去にあったアイデアを組合せている点が興味深いです)。
登壇中のデイビット・ショーン氏
ショーン氏いわく、ビットコインを超えたブロックチェーンが、Elixxirとのこと。それはスケーラブルでありながら、匿名性を担保し、将来の量子コンピュータによる暗号解読への耐性を備えたものになるそうです。
そして、スピードです。ここは多くのブロックチェーンがサイドチェーンを用いたり、DAG型の暗号を採用するメインチェーン構築など解決策を模索しているところですが、Elixxirでは、毎秒10万件のトランザクションをさばけるとのこと。
さて、どのような仕組みなのか、投影された資料(漫画による説明も含む)だと正直こちらの理解がおぼつかないですが(笑)、繰り返し強調されていた点を要約すると次になります。
「分散化と無作為化によるアルゴリズム」「すべてのトランザクションにおける公開鍵に関する運用はコンピュータが前もって行い、ハッシュ化だけをリアルタイムに行う」。ブロックの生成には、いくつかの選ばれたノードがチームのように協調作業を行うことで、トランザクションの中身を完全に秘匿できるそうです。
…以下に漫画でメールの伝達について説明されていますが、やはりわかりません(涙。
Distributed2018というカンファレンスでショーン氏の基調講演がYouTubeにアップロードされているので、興味ある方はご覧ください。
Elixxirの公式サイトによれば、すでにα版は稼働しているそうで、βが2019年にはローンチするとのこと。ノードに接続したい人やDApps開発者を募っているので、どんなものか試すことはできそうですね。
ほかにもConsensus : Singapore 2018では、世界最大の取引所であるBinanceの創業者CZ(Changpeng Zao)氏が登壇するなど、注目度の高い話題もありました。しかし、インターネット第一世代からすると、最新プロジェクトと共に前線復帰したデイビット・ショーン氏を取り上げないわけにはいきませんでした。
無論、興味深い出展社やピッチもあったので、それについては改めて書きたいと思います。
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