皆さんは、ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)を装着したことがありますか? かつて、任天堂の「バーチャルボーイ」というHMD付きゲーム機がありましたが、ソニーの最近の製品も含めて、HMDと言えば、両目をディスプレイで覆って立体視によって奥行きのある3D映像を視るタイプのものを想像される方が多いかもしれません。
ほかにもニコンのUPシリーズとテレグラスのような片目側を映像ディスプレイとして使用するものもHMDです。でも、わたしが体験したのは、そのどれとも違うタイプの没入型のHMD。その名は「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」。一部で話題になっていますが、噂に違わずこれはスゴい。
そんなOculus Riftをわたしが体験したのは、先日開催されたTOKYO DESIGNERS WEEK 2013でした。
インフォバーン社のクリエイティブ・フェロー・木継則幸君と株式会社モフの荒川健司代表が共同制作した体験型インフォグラフィクス作品『Subjective World』。
Oculus Riftを装着すると、周囲360度に仮想空間が広がります。そのなかを無数のキューブが被装着者の頭上をすごい速さで超えていきます。
そして、デバイスを操作するとそのキューブがスローモーションに変化。速くて見過ごしたものも、デバイスを操作することで、それが何だったのか実際の移動速度と共に物体名がキューブの上に表示されます。たとえば、時速320km・くしゃみ……といった具合に。
今までのインフォグラフィクスは平面での図示が多いのですが、これは体感できる「情報」と言えます。同作品は今後、海外のエキシビジョンでも発表される予定だそうです。
頭をゆっくりと動かすと、その速度にあわせて被装着者は周囲が見渡せるので、身体的にはリアルな体験として受容されます。このOculus Riftは、臨X体験(Near X Experience)とでも名付けたくなるような仮想と現実の狭間をリドローします。
木継君たちの作品が提示したように、同製品の登場で情報の可視化に新たな可能性が見えてきました。また、今後は建造物内のシミュレーション、行くことが不可能な場所の探索も追体験できるでしょう。
わたしはこれを装着したアクション・ゲームに期待を寄せています。きっとその臨場感たるや、これまでのゲームを軽く凌駕するに違いありません。
今年もっとも衝撃を受けたテクノロジーです。
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