昨日は新オフィスとなって初出勤日でした。本社と京都をビデオで結んで行われる週一の社員ミーティングでは、連戦錬磨の執行役員らが「ベンチャーは移転後が肝心。気を引き締めて」と檄を飛ばしました。いい気にならずに褌(ふんどし)を締めよ、ということですね。
一方、わたしはこのビルのほかのフロアほとんどを弊社グループで借りたい、とこれまた役員らとは反対の激(?)を飛ばしました。実は移転していい気になるどころか、移転時は常に不安で仕方ありません。
企業の移転は、現在コストと将来コストを天秤にかけて決断する必要がありますが、撤退時を除けば、多くは将来の成長を織り込みます。ですので、後で振り返ったとき、それが大正解だったと言えるためにも、さらに上を目指す覚悟で当たらないとヤバいという、自身への気合い注入でもあったわけです。
夢の?若手起業家
さて、弊社は先月30日に創業15周年を迎えたのですが、社歴の若いベンチャー企業がひしめく渋谷区のIT系界隈では、さしずめ老舗の1社でしょうか。
創業の地は世田谷区瀬田の住宅街でした。隣人には変な集団がやってきたと怖がられたものです。
当時創刊したばかりの雑誌「サイゾー」を持って、「けっして怪しい者ではありません」と挨拶に伺うと、よけいに警戒されました。
用賀駅から徒歩ガチ二十分以上という場所から、渋谷に移転してすでに十年以上になります。わたしはアラサーで起業しましたが、一度も「若手ベンチャー起業家」とか呼ばれることもなく、アラフィフとなってしまいました。
実はわたしは創業するまで経営者になりたかったわけではありません。だからなのか、「ン年までに年商百億!」とか腕組み写真やガッツポーズ付きで『ベンチャー通信』の紙面を飾らずに済んだというか、そもそも経営者として認知されずに今日に至ります。
秒速で1億円を稼ぐ術も知らず、当時から七転八倒していました。共同創業者はもちろん、創業前に出会ったエンジェル投資家がいなければ起業していなかったでしょう。
当時はベンチャー起業ブーム前なので、仕組みもよくわかっていませんでした。投資家の方がホワイトボードに概念を描いて説明してくださったことを今でも覚えています。
君らはシードって言うんだ。それにお金を出す人がエンジェル。そう、エンジェルってのは、起業前のアイデアの段階から投資するんだよ。
わお。
今度は自分がほかの人に説明できるよう、新オフィスには周囲を黒板仕様にしたセミナールームも設置しました。ちなみに、今回初めて執務フロアと会議室フロアをわけ、グループ企業も同ビル内に転居しました。
B2CからB2B企業へ
インフォバーン社は2007年まで雑誌・書籍を刊行してきましたが、その後に月刊サイゾーとそのデジタル化権、書籍等の出版取引口座を含む全出版事業を売却しました。現在、弊社との資本関係をもたない法人が運営しています。さらに、当時部門のひとつだったギズモード・ジャパン等のブログ出版事業を別会社化しました。それがメディアジーンというグループ会社です。
そして、弊社では創業時からB2Cの出版事業以外にB2Bのソリューション事業を営んでいましたが、その規模は年々大きくなり、現在は欧米などでデジタル・エージェンシーと呼ばれる専業社となりました。
一部の幹部にしか語ったことがありませんが、わたしが目指しているのは、英国にあるLBi社です。同社はもともと小さな集団からスタートし、今では欧州最大規模のデジタル・エージェンシーに成長しました。
わたしたちが扱うソリューション事業とは、企業と消費者とのコミュニケーション活性化施策が主となります。そのために、企業メディアを立上げ、コンテンツを介したデジタル・マーケティング全般を支援します。ときには社内コミュニケーション(インナーブランディング含む)とか、社内外との協創を促します。
戦略立案からユーザー体験(UX)のデザイン、コンテンツ制作とその運用、システム開発、DMPと呼ばれるクラウドデータの活用等多岐にわたるフローの全部、もしくは一部に携わります。
最近では急増する企業のオウンドメディア化に伴い、その企業のために専任のライターをキャスティングし、コンテンツを更新する「WRITES (ライツ)」というコンテンツシンジケーションも運営しています。
東京本社とグループ企業のメディアジーン、デジモ共に今回新オフィスに移転しましたが、井登友一・京都支社長率いる精鋭集団の「インフォバーンKYOTO」もお忘れなく。同社は京都の御池通沿いにあります。
オフィス内に山小屋があり、そこでの会議は落ち着きます。毎夏、祇園の際には同オフィスは冷房付き観席と化し、当日はゲストをお招きしてランチ付きのワークショップを開催していますので、関西のお客様はどうぞおいでやす。
同社は毎週金曜に「御池ワークショップ」を開催するなど、関西シーンを盛り上げるべくデジタル・マーケティングに関するトレンドを精力的にキャッチアップしています(活動内容は「小僧ブログ」で)。
なお、先月末にオフィス移転のお披露目を兼ねたささやかなパーティーを開催しました。その際に全員をお招きできませんでしたが、また関係者の方には改めて機会を設けたいと思います。献花いただいた皆さまにもこの場を借りて御礼申し上げます。
当日の模様は、いちるさんが「小鳥ピヨピヨ」に、いしたにまさきさんが、「みたいもん」に投稿されています。ありがとうございました。
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