オンライン・マガジンSlateに投稿されたPaul Boutin氏の記事を読んだ。
記事は1日4千万ものビデオ再生を行うビデオ共有サービスのYouTubeとアマゾンよりもアクセスが多いソーシャル・プラットフォームのMySpaceについて考察されたものだ。
なぜGoogle VideoはYouTubeに敗れ、OrkutはMySpaceを超えられないのだろう。偉大なはずのGoogleですら成し遂げていないことを、MySpaceとYouTubeは短期で成し遂げた。
結論からいえば、答えはきわめてシンプルだ。そして、それが真実だとしたら、私たちサービス提供者側は気をつけたほうがいいだろう。
記事はその末尾で明快に述べている。
The secret to success is to make everything one-button easy, then get out of the way.
昨今のWebサービスの隆盛は、回線やハード・インフラの能力がきわめて上がり、コストが下がると同時にコンテンツがより充実してきたことが大きな要因だろう。そう考えると、多くのユーザーにとっても魅力的なサービスとは、もっとも使い易いものだということだ。
はたして、多くの人間がCSSを書き換えたり、ファイルのフォーマットを変換したり、アプリをダウンロード&インストールし、それをまた複雑な過程を経て共有したりするだろうか。
Web2.0とは、より人間に近づくものであるという考えを以前に紹介したことがあるが、だとしたら勤勉なユーザーよりも怠惰なユーザーをたくさん惹き付けるべく、背景の複雑さを巧妙に隠蔽し、すぐに目的にたどりつくサービスに仕上げなくてはならないだろう。そして、それはまるで銀行のATM機のようなものかもしれない。
ならば、YouTubeは完璧だ。実際に私も最近は特にハマっている。あいにくMySpace上にアカウントをもっていないが、眺めてみる限り難しさを感じない。
MySpaceはティーンのユーザーが多いと聞く。初期の頃にミュージシャンたちを取り込んだこともマーケティングにおける大きな成功要因だとも。それゆえか、MySpaceについて私はずっと子どもじみている、という印象を抱き、どこか低く見ていたフシがある。
しかし、この記事を読んでちょっと考えが改まった。
思えば、素っ気なかった初期のGreeと違って、登場したときから今に至るまで、その女性っぽい色づかいやネーミングに違和を感じるmixi!はMySpaceとどことなく似ている。ユーザー層はGeekではなく、もっと多くの老若男女に及ぶだろう。
Webサービスはローンチ時の印象によって、その未来を占うことができるかもしれない。
Geek絶賛 → 先細り
Geek無視 → 大成功
記事を読んだ後、もしかして、Googleは曲がり角にいるのではないだろうかと、ふと思った。同社をメインストリームに押し上げたものは、もっともシンプルなUIと検索結果にたどり着くまでのスピードだったのに……。
これからは家電やクルマをデザインするかのごとく、大衆を念頭においたサービスがさらに躍進するのかもしれない。
それらは理解が難しくなく、明快な目的がインターフェイスから感じられ、その目的を達成するための手順はシンプルなほどよい。その観点から、いくつかのサービスを検分してみる必要がある。
非ギーグの小生、
これはホントに禿同だす。
システムは進化しても、
人間そのものは3万年まったく進化してないんだから、あらゆる進化したシステムに対する
フツーのひとびとの反応は、常に一定。
だから、
「怠惰なやつがアプローチできる」てのが
マス化する基本だよねえ。
ところがシステム進化を担うやつ(含むギーグ)は、
どんどん先鋭化し、マスから離れてしまう、
という矛盾・・・てことですね。
ミクシとグリーの差もまさにこれだもんね。
梅田本にイマイチ乗れなかった理由が
よくわかりました(笑
投稿情報: yana | 2006/05/13 08:41