前回に続いて、SXSW2016の新設トラック「VR/AR」トラックの続報になります。
Vuze
Vuzeはコンシューマー向け360度型4Kカメラです。これまで見たなかでは、かなり強力な商品力をもっています。現場のスタッフに聞いたら、ステレオスコピックだと言っていました。4月発売予定で、予価800ドルとのこと(あくまで現場での質問に対する回答です)。
Vuzeで撮影された動画を同社製ヘッドセットで視聴しましたが、かなりきれい。スティッチも不自然さがありません。デモ画面のクォリティーが製作できるなら欲しいかも。
4K 360度カメラから8Kまで
イマーシブ・コンテンツ製作会社の話を聞くと、GoPro HERO4Kを複数台用いて撮影している例が多いようです。リグには前回のレポートでも伝えたようなメーカー製のもの(GoPro HERO 4K 360等)があり、強者(つわもの)はさらにRED 6K DRAGONを12台つかって360度カメラに仕立てているとのこと。参考までにNEXTVR社のシステムも紹介しておきますね。
ステレオスコピックでは解像度が上がると、俄然リアリティも違ってくるそうです。リアリティという意味では、NHKの8KによるVRシアターが圧倒的でした。24のスピーカーによる22.2chのサウンドと2つの巨大プロジェクターによる臨場感は体験したことがありません。
このシステムを想定したコンテンツ製作は大変そうですが、ここまでくるとライブ会場やスポーツ観戦に行かなくてもいいような気がしてきます。
一般ユーザー向けヘッドセットは百花繚乱
今回、多く見かけたのは安価なヘッドセットです。GEAR VRやVIBEもよりもっと安価に提供しようと、各国がこぞって段ボール製のものから、プラスティック成型のものまで出展していました。
なかでも木製のヘッドセットを案内していたのは、オランダからやってきたデトレフさん(写真上)。VRmasterという企業の担当者です。装着すると木の香りがします。
デトレフさんによれば、オランダもVRブームだとか。全世界規模でイマーシブな世界に魅せられた人たちが増えています。
NOON VRはアマゾンですでに100ドル以下で販売されているヘッドセットです。今回、段ボールタイプも出展していました。この会社ではVRストリーミングも行っているとのこと。スポーツやフェスでの運用が期待されますね。
http://www.noonvr.com/en/view/main
武威阿瑠(ブイアール)by KDDI
KDDIのブースもディズニーランドの待ち時間並に人が行列をつくっていました。わたしも体験しましたが、映像はCGながら、なかなか臨場感満載でした。なお、VRを用いたイマーシブ(没入型)コンテンツについては、体験した本人にしかわからないので、テキストや写真では伝えにくいのが難点ですね。写真を撮っても、どれも同じ画にしかなりません(!)。
とある開発者の方にお話を聞く機会がありましたが、ほとんどの展示でHTC VIBEを用いているのは、開発しやすいという理由によるそうです。また、コンテンツに関する制約が少ないとも。今回、オキュラスリフトでデモを行っている出展者は少数でした。
イマーシブ・コンテンツも百花繚乱、しかし……
多数のVR・ARコンテンツ製作会社も出展。デモを行っていました。ほとんど体験しましたが、クォリティが高いコンテンツの製作会社はわずか。特にYOUVISIT、VRSE、Bipolar ID、NEXTVRは完璧です。なかにはひどいものもありました。しかし、逆説的ですが、どういうスタイルで製作するとVR・ARコンテンツとしてダメなのかが、とても参考になりました。
質はともかくアイデアが面白かったのは、PRESENCELABSです。音楽にあわせて風景が選べ、そのなかで踊れるというイマーシブ・コンテンツをデモしていました。CGではなく実像で体験したいと思いましたが、このアイデアは自宅をレイヴ会場に変えてしまいますね。
ほかにコンテンツ関連では、VRコンテンツのポータルサイトVRIDEO、クリエーター同士を組織するWevrなど、ユニークな試みもありました。
ざっと駆け足で紹介しましたが、今回の視察を通してわかったことや、イマーシブ・コンテンツ製作に必要なこと、また紹介しきれなかったことなど、視察報告を有志向けにリアルで行う予定です。近日に facebook か Twitterで告知しますので、よろしくどうぞ。
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